エッシャーとカタチをめぐる数学 [アート]
もうご覧になった方も多いかと思いますが・・
6月末、上野の森美術館に「ミラクルエッシャー展」を
見に行きました。http://www.escher.jp/(7/29迄)
すぐに入場できたものの、会場内ではじっくり鑑賞するための
列ができており、短気な自分も珍しく並んで見て廻りました。
下の様なエッシャーの騙し絵を初めて見た時(中学生の頃?)、
どうなっているのか不思議で眺め続けた覚えがあります。
が、うかつにもこれが「版画」で、生誕120年という比較的
最近の方なのだという基本的な事も知りませんでした。。
お兄さんが結晶学・地質学の学者で、数学者とも交流があった
とか、アルハンブラ宮殿のモザイク、無限という概念に強く
惹かれていたことなども今回初めて知りましたが、どうも
聖書を題材にした作品やアマルフィーの風景を見てもつい
騙し絵的要素を探してしまったりして。。(^^;)。
それにしても何故イスラエル博物館にこれ程多くのコレクション
(選りすぐりの約150点?!)があるのでしょうか?
今回の目玉は4mに及ぶ絵巻物のような「メタモルフォーゼⅡ」。
METAMORPHOSE(変化、変身)という単語を縦横に組んだ形から
正方形のモザイク→トカゲ発生→正六角形→蜂の巣→蜂、蝶・・
と次々姿を変えて白と黒に赤、空と海のものが交差・反転し、
やがて無機質な立方体→家→チェス盤→モノトーンの文字に
還っていく。。最初と最後が繋がることで永遠に循環し続ける
アニメーションを見ているような、「変化」という言葉を視覚化
したような・・移り変わるカタチの不思議に目眩がします。。
(上画像は印刷物から転用した一部ですが実際は一続きです)
(『昼と夜』1938年)
今でもエッシャーの作品は色褪せることなく、映画やゲームの
背景にも使われるなど、人々を魅了し続けているのですね。
グッズ売場で、エッシャーの世界を数学的な視点から
紹介した『別冊「ニュートン」~奥深き「カタチ」を
めぐる数学』という面白そうな雑誌を見つけました。
有名な『滝』(1961年)という作品は、1958年に数学者の
ペンローズ親子が発表した「ペンローズの三角形」を2つ
組み合わせていることや、『物見の塔』で男が手にしている
立体と背後のちぐはぐな建物は、どちらも足下に置かれた紙
に描かれている「ネッカーの立体」(どの辺を手前とみなす
かで見え方が異なる)に基づいているものだということ、
「メビウスの輪」や「正多面体」、敷き詰められるタイル張り
の法則等、題材となった図形に関する簡単な解説が載っていて
数学が苦手な私には嬉しい特集でした(^^)。
※上の2つの画像は展覧会場の出口で配られていたあぶらとり紙
とうちわです。協賛のミネルヴァさん、暑い日に気が利きますね!