岡本太郎記念館 [アート]
都内の病院に通うついでに、前回の新星堂ギャラリーと岡本太郎記念館へ
立ち寄ってみましたが、その時にはこの辺りが児相建設問題で話題になって
いる場所とは気づかずに歩いていました。
ママチャリでの送り迎えや横断歩道で旗振りをするお母様方、ランドセルを
しょって下校する小学生というごく普通の光景が、ブランドショップが立ち
並ぶオシャレな街並みの中では何か不思議なものに思えてしまったのですが
・・敢えてこういう所に引っ越して来られる方もいらっしゃるのですね。。
恵まれた環境にある子供も、なぜ社会的弱者が生じてしまうのかを他人事
ではなく自身の痛みとして感じられる人になってほしいと思うけれど。。
本題の「岡本太郎記念館」は↓岡本太郎さんの自宅兼アトリエを改装した
ものです。ちょっとしたジャングルみたいなお庭もあって、「南青山に
ジャングルがあってもいいじゃないか」と言いたくなります。
(「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」という昔のCMのもじり)
青南小になじめず1か月で退学されてしまったという太郎さん、
この破天荒なパワーは、小さい枠には収りきらないでしょうね。
右上の植物は、バナナかと思ったら芭蕉でした( ・∀・)。
2018-12-26 21:29
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星の街~内林武史作品展 [アート]
内林武史さんの「オブジェ作品展~星の街」を見るために、
南青山の新星堂という画廊にお邪魔しました。
地下の展示室に、静寂の中で光を放つ「星の街」が在りました。
幻想的なこの街は、暗い海の中にぽっかり浮かんだ
美しい光の島のようでもありました。
ぼ~っと眺めていると別世界に迷い込むような感覚に陥ります。
見る角度や位置を変えると、建物群は趣が変わるのでした。
聖夜に相応しいと思うのですが、残念ながら12/22までの展示です。
いつも紹介が遅くてすみません・・(><)。
TANAKAのゴールドクリスマス [アート]
12月に入り、銀座の大通りもクリスマスの飾りで華やかになっています。
その中で偶然、「徳持耕一郎 アート展」の看板を見つけました。
この方の鉄筋彫刻の写真を時々見かけて、気になっていたのでした。
会場は、敷居が高そうな貴金属のお店「GINZA TANAKA」の中にあります。
ちょっと覗いて見ると(←庶民)店内には金色に輝く楽器が飾られていて、
お店の方も「どうぞ撮影なさって下さい」と、にこやかな笑顔で迎え入れて
コンセプトは「音楽とアートで奏でるゴールドクリスマス」。豪奢なシンバルの
ツリー、金鍵のグランドピアノ、純金製バイオリン・ストラディバリウスモデル等
価格不明の美しいディスプレイが並んでいて、目眩がしそうです・・・@@
6階の特設会場は1階とはうってかわってシックで落ち着いた空間でした。
洒落たJAZZが聞こえてきそうな「大人のクリスマス」という趣が素敵でした。
2018-12-16 22:53
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国民的人気画家、それぞれの描く意味 [アート]
東山魁夷の10年ぶりの大回顧展が12/3迄国立新美術館で開かれています。
学生時代の私にとって宝物だった画集「ドイツ・オーストリア編」の中で
特に好きだった「晩鐘」も、久しぶりに鑑賞することができました。
東山魁夷の作品は美しいのはもちろん、向き合うと心が落ち着きます。
名声を得てもなお、自分は才能がないと思っていたという東山魁夷は、
唐招提寺の障壁画を完成させた事で描き続ける意味・「自分にとって
描くことは祈ること」、どれだけ心を籠めたかが大事なのだと悟ったの
だそうです。その後に描いた上記画像の「緑響く」「静唱」「行く秋」
等の、心の中で暖められた風景や思いを丁寧に掬い上げ、解き放ったか
のような作品には、心を打たれて思わず涙ぐんでしまいました。。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
国立新美術館で東山魁夷展と同時に開催されていたボナール展。12/17迄
ピエール・ボナールは、近年母国フランスで人気が再燃しているのだそうです。
年々変わっていく独特の色遣い、浮世絵に影響を受けた構成や、背景から書割の
ように重ねていく手法、1日の大半を浴室で過ごしたという妻、飼っていた動物
達を描いた作品など、130点を超える作品をゆっくり見て回る事が出来ました。
個人的には南仏の明るい風景、「花咲くアーモンドの木」が気に入りました。
それから・・右上の『白い猫』の絵にちなんでボナール展のHPで募集している
「びよーん猫」のコーナーに、ソネブロガーちぃ様の愛猫・梅吉さんのお写真
も掲載されています!(こちらです→ http://bonnard2018.exhn.jp/cat/)
スウェーデンの国民的人気画家、カール・ラーション。油絵、版画、挿絵、
妻カーリンと共に作り上げた理想の家「リッラ・ヒュットネース」での家族
の暮らしを描いた水彩画、そしてカーリンが手作りしたタペストリーや衣類、
塗り替えたりデザインした家具など、夫妻の生い立ちから何故そのような
暮らしを目指したかが判るような展示構成になっていました。
画家としての才能もありながら、子沢山の家庭を切り盛りし、伝統工芸も
学んで生活に潤いと美しさをもたらした愛情深いカーリンが素敵すぎます。。
上画像左は本物の家の写真、右はそれをイメージしてIKEAが提供したもの。
東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館、12月24日迄。
東京都美術館にて1/20まで開催中の「ムンク展~共鳴する魂の叫び」。
ムンクもノルウェーを代表する、国民的人気画家となっています。
ちなみにカール・ラーションは1853年、ムンクは1863年、ボナールは
1867年生まれとほぼ同時代を生き、3人ともパリ万博でジャポニズムに
遭遇しています。ムンクとボナールはスウェーデンの作家、アウグスト・
ストリンドベリと関わりもあったのですね。
幼少時に母や姉を亡くし病弱だったムンクは、若く美しい女性でさえ
狂気や死と隣合わせの、自分の個を喪失させる存在(「吸血鬼」等)
として描いており、マリアの受胎の瞬間を描いたとされる「マドンナ」
も性、生、死が絡まりながら密接に結びつき、モノクロで描かれた女性
は胎児と精子に縁取られた死体のようにも見えます。
ムンクにとっての絵は「自己告白」。描くことにより、繊細な神経には
耐えがたい内面の恐怖や不安を対象化し形にすることで正気を保ち、
繰り返し描くことでその体験を何度も見つめ直して昇華していったよう
に思えます。「叫び」などに見られる泥人形のような人物はもちろん、
美しい風景を描いた「星月夜」「太陽」にも、ムンクの精神状態や自我
が色濃く投影されているのを感じます。そして、独身を通したムンクは
作品を手放す時には同じものを2枚描いて1枚は手元に置き、自らの作品
を「子供達」と呼ぶほど愛着を持っていたのだそうです。。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
4人の国民的画家の作品を鑑賞し、本人が描かずにはいられないものは
何なのか、そしてそれを追求し続けることの重要性等、画家の性(サガ)
や業の様なものを改めて強く感じました。
それはともかく、自分自身が展覧会のハシゴをする気力・体力が衰えて
きたこともひしひしと感じる秋の午後でした。長くてスミマセン。。
アルヴァ・アアルトと葉山の海 [アート]
葉山の神奈川県立近代美術館。
前回ここに来たのは2年前、ブログを始めたばかりの頃でした。
現在開催されているのは、フィンランドの建築家・アルヴァ・アアルト展。
チラシが曲がってしまったら・・睨まれた?ゴメンナサイ!(m--m)
アアルトの建築が好きで、写真集を取り上げたこともありました。
設計図や建築模型の他、アアルトがデザインした家具や照明器具、ガラスの
器などを配した「アアルト・ルーム」があって、そこだけは撮影OKでした。
椅子はどれもシンプルですが座り心地が良く、光が柔らかく温かみの
ある照明器具も、標題通り「もうひとつの自然」のようでした。
人様が写り込んだり逆光になって写真はイマイチで申し訳ありません。
会員登録したのに行ったことがないイケアもこんな感じでしょうか。
常設されている屋外彫刻作品や美術館から見える海など・・
この美術館は海が近くて眺めも良いので気に入っています。
波の音を聞いていると心が落ち着いて、呼吸も深くなる気がします。
空ではとんびが輪を描き、砂浜は人の足跡でいっぱいでした( ・∀・)。
小雨降る夜の上野で見たものは [アート]
基本的に夜遊びしない健康優良中高年(爆)が
小雨降る夜の上野を徘徊する
シャンシャンはもうおやすみの時間です
彫像達は夜襲の打ち合わせ?
露出度が高い皆様は寒そうでした
今回の目的は薄暗いベンチではなく(^Д^)
屋形船に見えてしまった博物館でもありません
こういう灯りにも引き寄せられますが
向かった先は、こちら
夜景も綺麗な東京都美術館
こんな時間でもチケットを買うのに行列ができる人気ぶり
もう行けないかと諦めかけていた藤田嗣治展です。
いつも終了間際のブログアップで申し訳ございません。
(10月8日まで。通常入室は17時、金曜日は19:30まで)
2018-10-05 23:09
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大地の芸術祭その3・キナーレ編 [アート]
大地の芸術祭では、十日町駅付近の市街地でも作品を鑑賞できます。
その拠点施設の1つになっているのが「越後妻有里山現代美術館・
キナーレ」です。
美術館の建物と中央の池が、以前にも取り上げた事のあるレアンドロ・
エルリッヒの「空の池」という作品になっています。
つい子供が楽しそうに水遊びする姿に気を取られていましたが・・
2階から眺めると、おおっ!池に建物が浮かび上がっている!
見る角度により鏡面となって映る建物とズレたり重なったり。
右下も同じくエルリッヒの「トンネル」という錯視が楽しい作品。
トンネルを過ぎると巨人が現われた?!(トンネルがミニチュアなのです)
2018-09-26 15:59
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大地の芸術祭その2・半日バスツアー編 [アート]
大地の芸術祭は広さ760㎢にも及び、全て見て回るには数日かかり
ます。が、時間に余裕がなくなってきたので効率を考えて、午後は
半日バスツアー「松代コース」に参加してみました。←満席です@@
この周辺は閉鎖された小学校や廃屋を舞台にした作品が多いです。そこは、
かつて日常を過ごした人々のざわめきや記憶が残っているような場所。。
教室からは元気に遊ぶ子供の声は聞こえず、静寂の中でガチャンガチャン
と機械が回る音と子供達の残像だけが翻る「アコーディオン」という作品。
ガラス器具が整然と並ぶ実験室は「おぼろげな記憶」という作品に。
人ではなくてライトを育てている?「ライトの養育所」。照明器具を
優しく守るヴェールのような薄布を、そよ風がそっと揺らしています。
桜並木の校庭をトロッコで一周する「はなしるべ」のように、ここから
前に進もうとする意志が感じられる作品もありました。
医院を兼ねた住居だった「ドクターズ・ハウス」。なんでしょう、この
異次元のように歪んだ不思議な空間は・・。大胆なリフォームですね。
のどかな田園風景の中にポツリポツリと建つ一軒家、その中に
様々な作品が展示されている・・というより、それぞれが
独立した異世界を作り上げているように感じられました。
「影向の家」では、暗闇の中、階下からシャボン玉や一筋の煙が
ふ~っと立ち昇ってっくるのを静かに椅子に座って見つめます。
(真っ暗なので残念ながら画像はありません)
大地の芸術祭その1・農舞台編 [アート]
これまた先日終了してしまったのですが、今回初めて行ってみた
「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ」について。。
『過疎高齢化の進む豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市・津南町)を舞台に
2000年から3年に1度開催されている世界最大級の国際芸術祭。
農業を通して大地とかかわってきた「里山」の暮らしが今も豊かに残る地域で、
「人間は自然に内包される」を基本理念に、アートを媒介として地域に内在する
さまざまな価値を掘り起こし、その魅力を世界に発信し、地域再生の道筋を
築くことを目指します。』(パンフレットより引用)
最近、各地で町興しを兼ねたアートイベントが開催されていますが
こちらはその先駆けでもあり、進化し続けて前回来場者は51万人、
作品数も380点という多さで、棚田や里山の美しさも大事な要素。
早速、十日町の駅でパスポートやマップを購入して回りました。
今や引っ張りだこの草間彌生さんが世界中にあるご自身の屋外彫刻作品
の中でもお気に入りナンバーワンだいう「花咲ける妻有」も、こちらに
(ほくほく線まつだい駅の目の前)あります。
メタルフェティッシュと見立ての世界 [アート]
前回記事から続く「メタル・フェティッシュ」展。
金属を愛する現代アート作家4人と1ユニットによる
金属造形作品の競演を楽しむことができます。
(日本橋高島屋6F「美術画廊X」にて9/17まで)
篠田守男「世阿弥」 ・ 「空飛ぶ工場 TC8615」
篠田守男「ボロブデウールⅠ」・・だったでしょうか?(スミマセン)
金属×遺跡の組み合わせにゾクゾクします。明和電機「GM魚立琴」
はくるくる回転しています。竪琴として演奏するのも聞いてみたい。。
菅野猛「祈りの道具」(右)。避雷針のような先端から金属の
粒を入れると、涼やかな音をたてて下から転がり出てきます。
音が出るのが面白くて子供の頃に繰り返し遊んだ、おもちゃの
レジスターやパチンコ台、ビール工場をちょっと思い出したり
しましたが、それよりずっと繊細で神聖な作品です(^^;)。
内林武史「Imagination energy」・「月の眠る場所」は
工場の夜景のような、硬質でファンタジックな美しさ。。
う~ん、大好きだった建築現場の足場を思い出す。。(^^)
斬新で、見応えのある展示の充実ぶりもさることながら
係の方が撮影しやすいように照明を調節して下さったり、
スコープの撮り方を教えて下さったり親切で感激しました。
※
日本橋高島屋の9階では、9/23までこちらの展示も開催中です。
NHKの朝ドラ「ひよっこ」のオープニングで、サザンオールスターズ
の曲にのせて、田中達也さんの作品が使われていましたね。
日本橋の風景も。。ケーキでできた高島屋、魅力的すぎる~
身近な日用品や食品などとミニチュア人形(フィギュア)で作る
「見立てワールド」。ネットで毎日アップされ話題になったそうで、
作品30点と写真100点という膨大な数が集められています。
ダジャレ混じりのタイトルもユーモラスで笑えます(@^▽^@)。
「田舎ぶらし」 「節水にご協力ください・・・」
「アボカ島」 「地球温暖化の影響がここにも」
「1本1本丁寧に塗られています」 「北海道のポテ地」
「甘の川」 「ひと泡吹かされ中」
「新パン線」。←レールの上をちゃんと走っていました。
「チャーフィン」(食品サンプルだそうです)
「25㎝プール」・「収納ベタな食器棚の奥にある世界遺産」(@^▽^@)
「芯シティ(ホチキスの芯)」・ 「裁縫な遊園地」
「埋もれた名曲を掘り起こす」 「新国立競技場デザイン案」
好きだわ、このタイトル→「リアルなメモ=メモリアル」!
感心しつつも、たくさん笑わせて頂き、とても楽しかったです。
拡散OKなので多数掲載させて頂きましたが、これはほんの一部。
あちこち巡回されると思いますので、興味のある方は是非どうぞ!
桑原氏の作品を追って [アート]
何度か取り上げている桑原弘明さんの作品。
偶然にも都内3箇所で同時に7点が展示されていると聞き、
megさんと一緒にハシゴして回ることにしました。
アトレ恵比寿で腹ごしらえ。いつの間にか屋上が庭園になっています。
「タントタント」というお店に初めて行きましたが、前菜の
バイキングが充実していて、これだけでもお腹いっぱい?
メインのパスタも野菜たっぷりでヘルシーでした。
ギャラリーはどちらも駅から遠くないはずですが
万歩計をつけたいくらい歩数を稼いで
カロリー消費できる、方向音痴の私達。。(^Д^)
「ギャラリーまぁる」さんは、
大通りから一歩入っただけでこの雰囲気、素敵です。
「蜃気楼 美蕾樹を支えた作家達 シリーズⅠ」ということで
2006年に閉廊した渋谷の画廊「美蕾樹」に縁のある
四谷シモン氏の「人形の手」、巌谷國士氏の写真などと共に、
桑原氏の旧作を含む2点が展示されていました。
(9/16まで)https://galeriemalle.jp/
窓の奥にリボンで飾った調度品が見える部屋(一番上の画像左上)
光を当てると池に星が煌めく牧場(その右隣)は極小の静謐な世界。
※
次に向かった「シス書店」さんでは「エトワール(星)」が
テーマ。合田ノブヨさんや野中ユリさんのコラージュなど、
12人の作家さんの作品を落ち着いた空間で鑑賞できます。
桑原氏の作品は、室内に彗星が流れるミニ・スコープと、
うずらの卵の中で生まれた土星の赤ちゃん?の2つ、
美しくて可愛らしいです。
(一番上の画像の右上2つ。)
以前好きだった映画「20世紀少年読本」の林海象監督が
作られたオブジェや、宇野亞喜良氏のイラストもあり。。
今ちょっとはまっている山尾悠子さんの限定商品
(最新刊「飛ぶ孔雀」のサイン本や歌集↑挿画:山下陽子さん)の
販売もあり、好きな物に囲まれ居心地が良い所でした(^^)。
最後は日本橋タカシマヤ6F「美術画廊X」の
「メタル・フェティッシュ展」。金属フェチには嬉しい
硬質でメカニカルなアートの数々。
顕微鏡と天球儀と鉱物を組み合わせた外観だけでも
鑑賞に値しますが、中を覗くと何故か宇宙が見えます。
右上のスコープは、ライトを当てると昼夜のように
中の部屋の色合いが変わって二度楽しめます。
こちらも、うずらの卵の中に椅子が入っている@@。
それにしても、3つのテーマ全部にリンクしてしまった
桑原弘明さん、大忙しだったことでしょう。
ちょっと小さめの作品が多かったけれど、満足です。
(作品のタイトルを書き留め忘れてスミマセン!)
美術画廊Xのみ撮影可能でした。他の方の作品も
面白かったので、次回UPしたいと思います。
2018-09-12 21:14
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エッシャーとカタチをめぐる数学 [アート]
もうご覧になった方も多いかと思いますが・・
6月末、上野の森美術館に「ミラクルエッシャー展」を
見に行きました。http://www.escher.jp/(7/29迄)
すぐに入場できたものの、会場内ではじっくり鑑賞するための
列ができており、短気な自分も珍しく並んで見て廻りました。
下の様なエッシャーの騙し絵を初めて見た時(中学生の頃?)、
どうなっているのか不思議で眺め続けた覚えがあります。
が、うかつにもこれが「版画」で、生誕120年という比較的
最近の方なのだという基本的な事も知りませんでした。。
お兄さんが結晶学・地質学の学者で、数学者とも交流があった
とか、アルハンブラ宮殿のモザイク、無限という概念に強く
惹かれていたことなども今回初めて知りましたが、どうも
聖書を題材にした作品やアマルフィーの風景を見てもつい
騙し絵的要素を探してしまったりして。。(^^;)。
それにしても何故イスラエル博物館にこれ程多くのコレクション
(選りすぐりの約150点?!)があるのでしょうか?
今回の目玉は4mに及ぶ絵巻物のような「メタモルフォーゼⅡ」。
METAMORPHOSE(変化、変身)という単語を縦横に組んだ形から
正方形のモザイク→トカゲ発生→正六角形→蜂の巣→蜂、蝶・・
と次々姿を変えて白と黒に赤、空と海のものが交差・反転し、
やがて無機質な立方体→家→チェス盤→モノトーンの文字に
還っていく。。最初と最後が繋がることで永遠に循環し続ける
アニメーションを見ているような、「変化」という言葉を視覚化
したような・・移り変わるカタチの不思議に目眩がします。。
(上画像は印刷物から転用した一部ですが実際は一続きです)
(『昼と夜』1938年)
今でもエッシャーの作品は色褪せることなく、映画やゲームの
背景にも使われるなど、人々を魅了し続けているのですね。
グッズ売場で、エッシャーの世界を数学的な視点から
紹介した『別冊「ニュートン」~奥深き「カタチ」を
めぐる数学』という面白そうな雑誌を見つけました。
有名な『滝』(1961年)という作品は、1958年に数学者の
ペンローズ親子が発表した「ペンローズの三角形」を2つ
組み合わせていることや、『物見の塔』で男が手にしている
立体と背後のちぐはぐな建物は、どちらも足下に置かれた紙
に描かれている「ネッカーの立体」(どの辺を手前とみなす
かで見え方が異なる)に基づいているものだということ、
「メビウスの輪」や「正多面体」、敷き詰められるタイル張り
の法則等、題材となった図形に関する簡単な解説が載っていて
数学が苦手な私には嬉しい特集でした(^^)。
※上の2つの画像は展覧会場の出口で配られていたあぶらとり紙
とうちわです。協賛のミネルヴァさん、暑い日に気が利きますね!
リニューアル [アート]
久しぶりに、リニューアル後全面公開となった庭園美術館へ
行きました。本館も新館も、端正で美しいですね。
丁度、建物公開「旧朝香宮邸物語」を開催しており
日本庭園や茶室も散策することができました。
都会とは思えない程、緑に囲まれ静かで落ち着いた空間です。
朝香宮ご夫妻がアンリ・ラパンに本館の内装を依頼された経緯や
ご家族がお庭で芝滑りやボール遊びをされる微笑ましい映像、
外務大臣だった吉田茂氏の官邸や迎賓館として使われていた事など
何度か訪れているのに、よく知りませんでした。。
「鹿島茂コレクション・フランス絵本の世界」展も同時開催中。
懐かしい「ぞうのババール」や「ラ・フォンテーヌ寓話」等の
淡い色彩が綺麗な原本やポスターをたくさん見る事ができます。
「子供」の概念の変遷、絵本の歴史も学べる面白い企画でした。
「お仕置きとして和傘の下に座らされる女の子」の絵にはビックリ。
6月12日まで。→ http://www.teien-art-museum.ne.jp/
2018-05-20 17:37
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くまのもの~隈研吾展 [アート]
建築家・隈研吾の30年に及ぶプロジェクトを集大成した
「くまのもの~隈研吾とささやく物質、かたる物質」展。
(東京ステーションギャラリーにて3月3日~5月6日まで)
隈研吾氏は何かと話題の2020年東京オリンピックの新国立競技場や
JR新品川駅も設計されており、その模型も展示されていました。
「建築とは、結局のところ物質である。物質と人間との会話である。
(中略)20世紀は、コンクリートのせいで、会話は固くなり、
人間の表情もずいぶん暗くなった。もう一度、様々な物質と、いきいき
とした会話をはじめよう。」という隈氏の言葉に沿って、展示物は
竹、紙、土、石、膜・繊維などマテリアル毎にまとめられています。
素材の中には泡やバルーンまであったりして、その自由な発想に
ワクワクしてしまいます。右下のポータブル茶室「浮庵(ふあん)」
の実物も見ることができました。
柔らかい素材や曲線に包まれると、自然の中に身を置いているような
ぬくもりがあってホッとできそうな気がします。これも建築なのですね~。
物質の素材と工法の組み合わせを表わした図↓
理念や発想、オブジェとしては良くても、耐震性や耐久性も考慮し、
人が出入りしても安全な建築物として具現化していくまでの過程、
スタッフや職人さんの技術や労力も大変なものだろうと思われます。
ほとんどの展示物が撮影可能。冒頭のコメントにあったとおり、
様々な物質の声を聞き、その素材が持つ良さや可能性を最大限に
引きだそうとしているような、物質との出会いを楽しんで大切に
しているのが感じられるような展示でした。
タイムリーな事に、現在「美の巨人たち」というTV番組で上写真の
「雲の上のギャラリー」を取り上げています。斬新なデザインながら
和風建築の工法も取り入れていて、中に入ると引込まれそうな不思議
な空間が広がっているようです。行ってみたいなあ。。
東京駅とルドンの花園 [アート]
東京駅を利用するのは月に一度くらいですが、この周辺の歴史的
建造物と新しい建築が渾然一体となっている所が面白くて、つい
毎回写真を撮ってしまいます。おのぼりさんっぽい・・( ̄∇ ̄)
駅構内で長い行列ができていた「プレスバターサンド」。どんなものかと
とりあえず整理券だけもらって(笑)目的地へ向かいました。
向かった先は、これまた大好きな三菱一号館美術館。
10月桜がチラホラと咲いていて、相変わらず良い雰囲気です。
変わる廃墟展2018 [アート]
「変わる廃墟展2018」という写真展を見に行きました。
展示会場の浅草橋「TODAYS GALLERY STUDIO」
(月曜休3/21迄)自体もどことなく廃墟のような趣が・・
こちらは実録というよりアートとして廃墟の美に焦点を
当てた、12人の作家の方々の合同展示となっています。
詳細はこちら→ http://tgs.jp.net/event/haikyo
『変わる廃墟展』の「変わる」は、「物語を想起させるような・朽ち果てて
いく・静寂の中に眠る美しさ」を体感し「廃墟のイメージが180度変わる」
(パンフより抜粋)という意味だそうです。
滅びの美学や古代ギリシャ・ローマの廃墟が好きな自分は特別イメージが
変わることはありませんでしたが、若い方達にとって廃墟は「ホラーや
心霊現象」のイメージが強いと聞いて何となく納得しました。
撮影OKだったのでスマホ撮りしましたが、実物の写真はこれよりずっと
美しく迫力があります。(上記HPで見る事ができます。)
リゾート地の建物が経営難に陥って補修・撤去される事なく放置され、
草が生い茂ったり光が射しこむ風景には、妙に心惹かれるものがあります。
過ぎ去った時代の記憶やその後の紆余曲折に思いを馳せたり、人間が格闘
した跡をあっという間に覆い尽くす生命力旺盛な植物に圧倒されたり。。
自然に還っていくような人工物を見ていると時間が可視化される感覚や、
胸が締め付けられるような切なさ、あきらめに似た寂寥感など複雑な思い
が交錯します。(脳内BGMは「荒城の月」)
※当初この記事を上げたのが3月11日だったため、一部内容を差し替えて
再更新致しました。 震災で亡くなられた方々のご冥福と被災地域の復興が
進みますよう心からお祈り申し上げますと共に、ご訪問下さった皆様に
お詫び申し上げます。(m--m)。
創作人形公募展2018 [アート]
この時期恒例、全国から集められた「創作人形公募展」が今年も
3月1日~4日に人形のまち・さいたま市岩槻区にて開催されました。
岩槻駅の駅舎改築がようやく終わってエスカレーターが設置され、
駅前の人形店「東玉」では吊し雛が50%OFFになっていました。
雛飾りも最近はマンション仕様の小さなものやネット注文が増えているとか。
そういえば家にある立派な段飾りは押入れに入りっぱなし(駄洒落?)。
虫干しを兼ねて飾ってあげないといけないのですが女の子もいないし~。
公募作品はジャンルを超えた個性的な人形がたくさん並べられており、
スペースを広くとって独自の世界を作り上げられている招待作家の方々の
作品も見る事ができ、会場は賑わっていました。
(公募展は終了していますが、雛巡りイベントは11日まで行われています)
2018-03-07 15:03
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みうらじゅんフェス [アート]
3月25日まで、武蔵小杉の川崎市市民ミュージアムという所にて
「みうらじゅんフェス マイブームの全貌展」絶賛開催中です。
みうらじゅん氏(略してMJ)は「マイ・ブーム」「ゆるキャラ」等の
命名者、サブカル界の帝王といわれていますが、本業は・・何?
その還暦を祝い60年の活動の軌跡を追った展覧会のポスターが
至る所に貼られ、武蔵小杉はMJに占拠されたかのよう(@@)。
この人は世界的に有名なアーティストなの?と思う人もいるかも。。
まずはご幼少の砌から愛用し続けたスクラップブックの「コクヨ」
から贈呈された「ゴールデン・スクラッップ」と「ツッコミ如来」
が入口でお出迎えしてくれます。・・なんでやねん!(*^O^*)
2018-02-24 02:53
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輪舞曲~FLOWERS by NAKED 2018 [アート]
去年に引き続き、五感で楽しむ花の体験型アート展「FLOWERS by NAKED」を
見るため、COREDO日本橋に向かいました。 (2/26まで)
https://flowers.naked.works/ (↓日本橋三井ホールのエントランスです)
「自粛」はどうした?!というヤジが飛んでいますが、ちゃんと厚着とマスクを
して出掛けているので許してください(←誰に向かって言っているの~)
それはさておき、今年のテーマは「花と舞と音楽の宴」なのでダンサーさん多め。
薄衣を纏った美しいダンサーとバイオリニストのお姉様方も花の妖精のよう?
2018-02-07 22:26
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本という樹、図書館という森 [アート]
日比谷図書文化館にて開催中の「DOMANI・明日展PLUS
~本という樹、図書館という森」展(2/18迄)に行ってきました。
「DOMANI・明日展PLUS」は、国立新美術館の「DOMANI・明日展」と共に
文化庁が支援する若手芸術家の海外研修制度の成果発表・プレゼンの場にも
なっているとのことです。今回の「PLUS」は図書文化館での開催なので、
若林奮さん(故人)と、それに続く若手の小林孝亘、寺崎百合子、折笠良、
宮永愛子、蓮沼昌宏(敬称略)という5人のアーティストの方々の「本」を
テーマにした小規模な作品を展示しています。
さらに、各々が本や読書・図書館への思いを綴ったエッセイ、創作の源に
なった本のリストももらえて、その一部は特設コーナーで閲覧できます。
左下画像の絵画は小林孝亘さんの幻想的な作品、「Moonlight」。
右下は若林奮さんの参考資料の展示です。
寺崎百合子さんが海外の図書館を色鉛筆で描いた作品は、とても雰囲気がいい。
『人間の手で創られ、時に耐えて私達に残されているものを描きたいと思って
います。人の手仕事のあとを美しいと思い、そのものに触れ慈しんだ人々の
気配に感動させられるからです。その中でも、本は、もっとも賢く、もっとも
姿の美しいものだと思います。』(寺崎さんの文章より抜粋。左画像はパンフ
レットよりお借りしています。)