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脳はなぜ「心」を作ったのか [本・漫画・TVなど]

恵比寿ガーデンプレイスは、

マンションやオフィスビルという日常生活空間の中に

テーマパークが入り込んでいるようで面白いです。

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エントランスもディズニーランドみたい。

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どことなく浮き世離れしたヨーロピアン・テイストの

「ウエスティンホテル東京」も敷地内にあり、写真はすべて

そちらで(勝手に)撮らせて頂いたものです(^^;)。

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写真とは特に関係ないのですが・・

精密機械やロボットの研究開発に従事された前野隆司さんの著書、

『脳はなぜ「心」を作ったか』をたまたま手に取りました。

2004年の発行なので、AIの進歩が著しい現在では少し

古い部分もあるかもしれませんが、哲学や脳科学が専門

ではない方が書かれた本という所に興味を持ちました。
コンピューターやロボットは「知(知的な情報処理)」
「情(感情のようなもの)」「意(意図や意志を決定する働き)」
「記憶と学習」はある程度できるようになっているが、
「意識(知情意の様々な事柄に注意を向け、見たものや
聞いたものについて生き生きと感じる部分)」の
仕組みについては解明が遅れているのだそうです。
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その「意識」は、自分の個性を形作る重要な、
失ったり置き換えられたくないと感じる所でもあり、
「すべてを決定する主体的な存在」だと思いがちです。
しかし、数々の実験や考察から導かれた前野氏の
説(受動意識仮説)によると、「意識」は脳を離れた
霊魂のような存在ではもちろんなく、全てを統括する
司令塔的な存在(心の天動説)でもない。
「脳の中で無意識に行われた自律分散演算の結果を
川の下流で見ているかのように、受動的に受け入れ、
(心の地動説)自分がやったことと解釈し」、
無意識がした事を後で把握するための装置であり、
生き残りに有利となる「エピソード記憶」のために
「既存の神経系(触覚など)の構造を少し設計変更」
する事によって作り出されたものではないか、と。
私たちが失いたくないと恐れているものも、
地球上に星の数ほどある「無個性で誰もが持つ、単なる
<私>という錯覚のクオリア(生き生きとした質感)」
に過ぎないのだという。。
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人間の個性を担うニューラルネットワーク(神経回路網)の
初期構造はDNAという設計図(遺伝)によって決まり、
そのネットワークのつながり方や発火しやすさは
経験・学習によって後天的に変わっていきますが、
複雑で設計不可能と思われていた「意識」が
前述のようなものであれば、ロボットにも
心の原型を作り進化的計算や目的関数を取り入れて
経験に従い成長させることができるだろうという事でした。
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昔読んだSFの影響で、融通の利かない冷たいロボットと
それに支配される人間、というイメージが抜けないのですが、
倫理観に欠け学ばない政治家やパワハラ指導者、
暴力や暴言が絶えない職場などを見ていると、
前野氏が書かれていた下記の夢のようなロボットに
期待を寄せたくなってしまいます(><)。
○高度で総合的な判断が要求される業務(医療、教育、法務、
政治、経営など)を支援・代行するロボット
 ○豊かな感受性と幸福感を持ち労働をいとわない献身的なロボット
○聖人のように律として尊敬に値する人間性を発揮するロボット
○正義感にあふれ、スケールが大きい精神的に大人のロボット・・
「マーティン・ルーサー・キング」(マーシャル・フレディ著)
も同時に読んでいたら、公民権運動のシンボル・偉人とされた
キング牧師が自らの二面性(持ち上げられた故の苦悩、
女性関係の乱れ等)に苦しんだり幻滅されたりする所も
描かれていました。そういう人間ならではの欠点や
自責の念もロボットなら無いのかなと思ったり。
ロボットに全て依存して判断を妄信するあまり、
人間の思考や行動が停止してしまうのが怖ろしくもあり。。
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いずれにしても何を理想とし、どういう環境で
誰がどのように育てていくか」が重要なのでしょう。
何らかの想定外の事態が起きる可能性があるのも、
作り手の考え方や育て方によっては
手に負えないモンスターが出来上がってしまうのも
人間・ロボットに共通しているように思えます。
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話も逸れて段々むなしい気分になってきましたが、
「エピローグ」の言葉に救われる思いがしたので
その一部を引用させて頂きます。。
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<私が生きた軌跡は、自分のエピソード記憶として
とどめておくことに価値があるのではない。
生きていたってどうせ忘却していくし、
脳内の記憶は身体の死とともに消滅する。
だからそこにしがみつくことに意味はない。
それよりも、子どもや教え子や世界の人々に思想として
生きた証を伝承することの方が重要ではないか。そうすれば、
個人の記憶は、ささやかながら文化として受け継がれていく。
「私」は何らかの形で継承される。(中略)安心していい。
「私」は確実に、世界とつながっているのだから。>

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