本という樹、図書館という森 [アート]
日比谷図書文化館にて開催中の「DOMANI・明日展PLUS
~本という樹、図書館という森」展(2/18迄)に行ってきました。
「DOMANI・明日展PLUS」は、国立新美術館の「DOMANI・明日展」と共に
文化庁が支援する若手芸術家の海外研修制度の成果発表・プレゼンの場にも
なっているとのことです。今回の「PLUS」は図書文化館での開催なので、
若林奮さん(故人)と、それに続く若手の小林孝亘、寺崎百合子、折笠良、
宮永愛子、蓮沼昌宏(敬称略)という5人のアーティストの方々の「本」を
テーマにした小規模な作品を展示しています。
さらに、各々が本や読書・図書館への思いを綴ったエッセイ、創作の源に
なった本のリストももらえて、その一部は特設コーナーで閲覧できます。
左下画像の絵画は小林孝亘さんの幻想的な作品、「Moonlight」。
右下は若林奮さんの参考資料の展示です。
寺崎百合子さんが海外の図書館を色鉛筆で描いた作品は、とても雰囲気がいい。
『人間の手で創られ、時に耐えて私達に残されているものを描きたいと思って
います。人の手仕事のあとを美しいと思い、そのものに触れ慈しんだ人々の
気配に感動させられるからです。その中でも、本は、もっとも賢く、もっとも
姿の美しいものだと思います。』(寺崎さんの文章より抜粋。左画像はパンフ
レットよりお借りしています。)
ところでこの展示に行こうと思ったのは、去年倉敷で鑑賞して以来ファンに
なってしまった宮永愛子さんの作品が見たかったからなのでした。
ナフタリンや樹脂で作られたクラシカルで儚い「Open book」、美しい。。
※宮永さんが取り上げられた楽譜「青い鳥」は下記で聞くことができます。
蓮沼昌宏さんの作品は、映画の元祖である「キノーラ」を使ったパラパラ漫画の
ような、ハンドルを手で回して見るアニメーションです。ひとコマずつ手を
止めて眺めることもできる、素朴なイラストから広がる小さく愛らしい世界。
映画と言えばもう一つ・・幼稚園の時に行った「東映まんがまつり」で『赤影』
を鑑賞する際に使った「立体メガネ」に再会しました!!
「赤影」については青山実花様の1月26日のブログ記事で拝見し懐かしく
思っていたので、ビックリしました。(青山実花様のブログはこちらです
左がその立体メガネ。右は折笠良さんの映像作品「地面の底の病気の顔」。
(萩原朔太郎詩集「月に吠える」より)このメガネをかけると形と文字が
混ざり合い、逆さになったり反転したりしながら立体的に立ち上ってきます。
アニメーション作品「Notre chambre Echo chamber」「水準原点」。
「書物の根源は洞窟ではないか」と仰るゲスト作家、藤本由紀夫氏の文章~
『図書館とは現代の洞窟である。様々な場所に情報が配置され、利用者で
ある読者は「好奇心」という灯りを頼りに迷宮に足を運ぶ。そこに何があるか
ではなく、何を読むかがとても大事なことになる。』に頷きつつ・・
作家さん達が取り上げた本は河合隼雄、平田オリザ、レイモンド・カーヴァー、
開高健、V・E・フランクル、武満徹、まどみちお、ロラン・バルト、ポオ、
ボルヘス、稲垣足穂、鴨長明、ボーヴォワール等多岐に渡り、60冊以上!
2011年にオープンしたというこの施設、美術関連だけで一部屋埋まって
しまうなんて、さすが都会は違います。もっと時間があればなあ・・と
後ろ髪を引かれつつ、「文化的で充実した洞窟」を離れました。
2018-02-03 23:36
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コメント(12)
私の与太ブログを
ご紹介くださって
ありがとうございます。
何かの話題をしたとき、
まるで誰かの力が働いたかのように
全く関係のないところから、
その話題が出てくることって
ありますよね。
運命と言ってもいいような(^_^)
うりくまさんが立体メガネと
再会できたこと、
私もとても嬉しく思いました。
これでもう一度「赤影」を
観てみたいです(^_^)
by 青山実花 (2018-02-04 15:02)
その昔、私にとっての日比谷公園は、落ち込んだ時に訪れる場所でした。図書館でつまらない映画で無駄に時間を潰したこともあります。少しずつ綺麗になっているような…
骨折が治ったら、この記事を思い出しながらお邪魔してみます。^ ^
by KENT0mg (2018-02-04 17:14)
青山実花様
コメント頂き恐縮です。立体メガネは幼児
でも簡単に作れますが、これも運命的な出会い
なのかも?!(笑)CG全盛の今、若い人が
レトロな手作りメガネやキノーラを使って
作品を作っているのが揺り戻しというか、
時代が一回りしたみたいで面白かったです。
by うりくま (2018-02-04 17:42)
KENT0mg 様
お昼時にはサラリーマンの皆様がスーツ姿で
埴輪の丘のベンチでお弁当を広げておられ、
「なんて良い環境!」と思ったもののかなり
寒いし(><)。傍からはわからない悩み
を抱えて気分転換をされていたのかもしれま
せんね(; ;)・・前に来たときは確か舛添さん
が誰も聞いていないのに都知事選の演説を
していたような(その時は落選されました)。
公会堂も閉鎖され、いろいろ変りましたね。
1Fの喫茶コーナーは明るくて良かったです。
たまにはゆっくり休んで、どうぞお大事に。。
by うりくま (2018-02-04 17:55)
野音に何回か行っていますし、日比谷公園も行きます
図書館の階段のところで座って話す事もありました。
しかし図書館はもう何十年と入っていません。
本は大好きですが、こちらでこのような催しがあったのですね
いつか、ご紹介下さる色々な芸術に触れてみたいです。
by majyo (2018-02-04 19:17)
都心のど真ん中でチューリップが咲く公園、
くらいの認識しかなくお恥ずかしいですが、
あの立地ですからメーデーや年越し派遣村
等様々な事が行われている所ですものね。
野音も閉鎖されていますが「柵にのぼるな」
という看板もそのままなのですね。
図書館はリニューアルされて開放的になって
いますが、それでもやはり古い書物が堆積
したような、空気が澱んだ「洞窟」的閉塞感
もどこかに残っているいるように感じました。
様々な講演会も開かれているようで、もう少し
近かったら通いたいのですが。。(^^;)
by うりくま (2018-02-04 21:02)
ポオ レイモンド・カーヴァー 稲垣足穂 ……
「本という樹、図書館という森」とは、なんて魅惑的なタイトルでしょう。
久しぶりに、「地面の底の病気の顔」を音読してみちゃいました。
わたしも2日の日、本にまつわる素敵な出会いをしてきました。
じぶんを育てたような本は、どんなに時が経っても、開けば響いた言葉が刻まれていて、しみじみあれこれを確認できるものだなぁって、感じます。
本という樹が小さい自分という部屋に幾本も木陰を作ってる感じ。
by トロル (2018-02-04 21:13)
なんだかこの展示の方向性とか、作品自体も
閲覧できる本も、好みに合っていました。
聞いたことない本もたくさんありましたけど
それも出会いの1つということで(笑)。
地面の底の・・もねじくれた病的な感じがよく
表わされていて。自ら選んで植樹して、何十年
もかけて繁茂させた自分だけの森、いいですね。
トロルさんの素敵な出会い、ブログに登場する
するのを楽しみにしても良いのかな?(^-^*)
by うりくま (2018-02-04 21:38)
日比谷図書館・・・久しく行ってないなぁ!!
しかも赤影・・・私も実花さんのブログを読んだ時にすっごく懐かしく感じたり??
日比谷公園ってよくイベントをやってるし、帝国や銀座に行く際は駐車場に止めるのでよく行くんだけど・・・
今度、図書館にもよってみよっと!!
by むうぴょんこ (2018-02-05 10:32)
むうぴょんこ様
銀座に車で乗り付けるって、むうぴょんこ様
カッコイイですね!地下鉄しか思い浮かばな
かった、庶民な私・・(゚o゚;)
美術本が多いのは今回の特設展示だったの
かもしれません。私も10年以上ぶりなので
目新しくて(^^;)。三番町の貝塚や地層の
断面を再現する等歴史展示室もあるのですね。
by うりくま (2018-02-07 18:03)
素敵な展示ですね。
近かったら是非訪れてみたいところです。
図書館、そして森、アートの世界
好きな要素に満たされています。
by アールグレイ (2018-02-11 17:27)
アールグレイ様
ありがとうございます。
あまり宣伝されていないようなのですが、
本からアート、アートから本に相互に興味を
持てるように企画された考えられた良い展示
でした。会期は残りわずかですが宣伝したい
と思い、載せてみました(^^)。
by うりくま (2018-02-12 23:50)